久遠の絆
◆◆◆





大陸の沿岸上空は、戦艦が数隻配備されていた。


「ほう。余裕じゃねえか。随分甘く見られたもんだぜ」


グレンは顔を引き攣らせた。


「ますます、やる気が出るぞー!」


そして雄叫びを上げるグレンを、シャルティはやや冷めた目で見ている。


いつもの自分なら、彼と一緒になってガオガオ叫んでいるところだが、 どうもその気になれない。


(思うことが多過ぎるんだ)


「どうした?覇気のねえ顔をして」


そんな空気を察したグレンが、珍しく気遣いを見せた。


「いや……。やるしかねえんだな」


「ああ、そうだ。やるしかねえ。ここまで来たら、腹括るしかねえんだ」


それは軍人と一般人との違いか。


「アトゥマを率いてやろうとしていたことも、確かに同じことだったのに。いざとなると、心が揺らぐなんてな」


「がははは。あんたにしては随分感傷的じゃねえか。しっかりしろよ!」


グレンはシャルティの背中を勢いよく叩いた。


「待ってろ。これが帝国軍人の戦いざまだってのを、見せてやる」


息が詰まり、声も出せないシャルティは、ただグレンの背中を見送るしかなく。


そのまま司令官席に上がったグレンは席に着いた。





「前方の艦隊に艦砲を一発ぶっ放してやれ。その後、我が艦は全速前進。他の艦は左右に分かれ、援護射撃を頼む。中央突破だ!」





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