久遠の絆
グレンの旗艦から、艦載砲が発射された。


それを合図に、両軍で火気の応酬が始まった。


さっそく敵艦の一隻が被弾し、海面へと落ちていく。


「こっちの方が正確じゃねえか」


グレンの嬉しそうな独り言が聞こえてきた。


しかしその直後、旗艦の前方を行く駆逐艦から火が出、そのまま空中で爆発した。


その衝撃がこちらにも伝わってくる。


ぐらぐら揺れる艦の中で、グレンは不敵に笑っていた。


「そうでなきゃ、面白くねえ」


その様子を離れた席から見ていたシャルティは、近くのオペレーターの耳元に口を寄せた。


この艦の乗員は、ほとんどグレンの元で働いていた者たちだ。


カイゼライトが連れて来たのだ。


「いつもあの人あんななの?」


オペレーターは苦笑を浮かべると、「はあ、まあ、だいたい」と答える。


「ふうん、あんたらも大変だな」


「いえ。優秀な上官ですから」


「なるほど」


好戦的な部分を補って余りある、人柄の良さというものか。


シャルティはそう理解した。


「さて、おれもそろそろ」


シャルティは立ち上がると、そのまま管制室を出て行った。


彼にも、彼の役割があるのだ。









艦砲の応酬は続いている。


連合軍側は、敵方の中心に砲火を集中することで、そこに穴を開けようと目論んでいる。


それと同時に左右に分かれて展開することで、両脇の艦の注目も集め、グレンの旗艦が突破しやすいように仕向けていた。


艦の数はほぼ同数。


しかし戦況は、やや連合側の優位に進んでいるようだ。


グレンの采配が冴え渡っていた。





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