久遠の絆
◇◇◇
通信映像のスクリーン越しに、数人の将校が同時に会話している。
「この岬を迂回すれば、首都だ」
海上から陸地へと入る、数隻の戦艦。
指揮するのは、カイゼライトを含めた、連合軍の将だ。
グレンほどの熟練の猛者はいないものの、皆かつては帝国軍と戦った者達だった。
カイゼライトよりはよほど経験があることから、彼は専ら教えを請う立場であった。
「この岬を過ぎれば、すぐに首都。これまで何の反撃も受けなかったのは、逆に不気味だが。被害のないまま首都に行けるのは、良かったな」
「一度止まって、もう一度作戦を確認した方が良いのでは?」
カイゼライトの問いに、壮年の将校が鼻で笑った。
「作戦は十分に確認済みだ。停滞は時間の無駄。このまま首都に向かうのが賢明なやり方だよ。カイゼライト君」
しかし、カイゼライトは漠然とした不安を感じていた。
このまま首都に近付くことが得策だとは、どうしても思えなかったのだ。
「怯んだかね、カイゼライト君。前方の敵に怯えるのは、己の命を縮めるだけだ」
「別に怯んだ訳ではありませんよ」
少しむっとしながら、カイゼライトは答えた。
ランデルも、その将校を睨み付けている。
「ふふ。君は若い。そして、初陣だ。近付く戦闘に恐れを抱くのも無理はないが。それでは将は務まらぬ」
「ですから、そういうことではなく。これ以上首都に近付いてはいけないような気がするのですよ」
「だから、それが恐れているということなのだろう?」
「違います」
「君は何が言いたいのだ?」
「ヘラルドの力を知るあなた方が、何故何も感じないのです?」
「君は、ヘラルドに何の力があるというのかね?あれは漆黒の総帥の腰巾着だ。総帥の隙を突いて、その座を奪ったに過ぎぬ、卑怯な奴だよ」
「本当に、それだけだと?」
「違うかね?」
「彼を、ヘラルドを見くびってはだめですよ。きっと痛い目を見る」
通信映像のスクリーン越しに、数人の将校が同時に会話している。
「この岬を迂回すれば、首都だ」
海上から陸地へと入る、数隻の戦艦。
指揮するのは、カイゼライトを含めた、連合軍の将だ。
グレンほどの熟練の猛者はいないものの、皆かつては帝国軍と戦った者達だった。
カイゼライトよりはよほど経験があることから、彼は専ら教えを請う立場であった。
「この岬を過ぎれば、すぐに首都。これまで何の反撃も受けなかったのは、逆に不気味だが。被害のないまま首都に行けるのは、良かったな」
「一度止まって、もう一度作戦を確認した方が良いのでは?」
カイゼライトの問いに、壮年の将校が鼻で笑った。
「作戦は十分に確認済みだ。停滞は時間の無駄。このまま首都に向かうのが賢明なやり方だよ。カイゼライト君」
しかし、カイゼライトは漠然とした不安を感じていた。
このまま首都に近付くことが得策だとは、どうしても思えなかったのだ。
「怯んだかね、カイゼライト君。前方の敵に怯えるのは、己の命を縮めるだけだ」
「別に怯んだ訳ではありませんよ」
少しむっとしながら、カイゼライトは答えた。
ランデルも、その将校を睨み付けている。
「ふふ。君は若い。そして、初陣だ。近付く戦闘に恐れを抱くのも無理はないが。それでは将は務まらぬ」
「ですから、そういうことではなく。これ以上首都に近付いてはいけないような気がするのですよ」
「だから、それが恐れているということなのだろう?」
「違います」
「君は何が言いたいのだ?」
「ヘラルドの力を知るあなた方が、何故何も感じないのです?」
「君は、ヘラルドに何の力があるというのかね?あれは漆黒の総帥の腰巾着だ。総帥の隙を突いて、その座を奪ったに過ぎぬ、卑怯な奴だよ」
「本当に、それだけだと?」
「違うかね?」
「彼を、ヘラルドを見くびってはだめですよ。きっと痛い目を見る」