久遠の絆
◇◇◇





シャルティは小型戦闘艇に乗り込み、一路首都を目指していた。


こちらの目的もまた、粒子砲搭載艦の奪取である。


これはグレンとの作戦で決まっていたことだった。


戦闘の混乱に乗じて戦線を離脱したのだ。


「おかしいな」


こちらの考えでは、すでに粒子砲搭載艦は動いている筈だった。


しかし実際には、それらしき艦影は見当たらない。


「これじゃ、ほんとに首都まで行っちまうぜ」


どうしたものかと小首を傾げた時だった。


目の端に何かが映った。


「ん?」


そちらに頭を巡らすと、まず巨大な砲台が眼に飛び込んできた。


「あれだ!」


やはり動いていた。


「いや、待て」


向かう方向がおかしい。


「あっちは前線じゃねえ」


砲口が光る。


エネルギー充填が始まったのだ。


「おいおい、ここでぶっ放す気かよ」


シャルティは小型戦闘艇を旋回させた。


砲口が向いている先は、のどかな田園地帯だった。


家畜や、小さな子供の姿まで見て取れる。


「おいおい、待てって」


間に合えば、あの砲台ごと破壊できる。


シャルティは激しい重力を受けながら、戦闘艇を急がせた。


「いける」


砲弾を発射した。


しかし。


それは、砲台に当たる前に跳ね返されたのだ。


「なぬ?」


もう一発。


だがそれも、見えない壁のようなものによって弾かれてしまった。


砲台を守る、見えない壁。


「またまた、不思議の世界よ、こんにちは、か……」


成す術なく呆然とするシャルティの目の前で、高密度粒子砲が発射された。


< 784 / 810 >

この作品をシェア

pagetop