久遠の絆
「うわっ」


エネルギー波に吹き飛ばされたシャルティの戦闘艇は、きりもみ状態になって地面へと落ちていく。


「ちょっと待てー!」


持ち前の身体能力の高さか。


シャルティは力ずくで戦闘艇の体勢を持ち直した。


地面すれすれの所で、再び空に舞い上がる戦闘艇。


「危なかった……」


ほっとしたのも束の間、シャルティは言葉を失った。


見渡す限りの景色がなくなっていたのだ。


それまでそこにあった筈の美しい田園風景が、すべて失われていた。


そこに生きていた筈の命も、有無を言わさず消されたのだ。


「これが、粒子砲の力?」


シドから聞いてはいたけれど、これ程残酷なものだったとは……。


「くそっ!」


ヘラルドの意図とは何なのか。


戦争には関係のない土地を消して、何か得るものがあるというのだろうか。


けれど、これこそが彼の目指す『世界の崩壊』に繋がるものであると言うのなら、これ以上の粒子砲の使用は、何としても止めなくてはならなかった。


「けど、どうやったらいい?」


もう奪取するとか言っていられない。


また砲口が光った。


「もう撃つのかよ」


本当に、この地のすべてを消滅させようとしているのか。


追いかけたが、間に合わない。


再び、エネルギー波が発射された。


「やめろーー!」


シャルティの叫びは、空しく空に吸い込まれて行った。






そして、シャルティは決断した。


こうなれば、元を断つしかない。


戦闘艇の燃料もあと僅か。


「俺だって、出来るよな。イーファン」


戦闘艇を旋回させ、向ったのは、首都だった。






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