久遠の絆
◇◇◇





「あれが皇宮」


シャルティは迷わなかった。


宮殿に向けて、砲弾を発射させた。


それは真っ直ぐに飛んで行き、尖塔の一つを破壊した。


それを確認することなく、次々に砲弾を放っていたシャルティは、バルコニーの一つに人影を見つけた。


「人だ!」


つい手を止めてしまった。


その人の上を旋回する。


目を凝らして見ると、その人には片目がない。


「まさか、あれが……」


ハッとした直後、彼は左手をシャルティの方に差し出した。


「何だ?」


その手には、赤い石。


「あっ」と思う間もなく、シャルティの戦闘艇は高度を下げていく。


頭を巡らせば、尾翼の辺りから煙が噴き出していた。


「しまった!」


そうは言っても、後の祭りだ。


シャルティの戦闘艇は石畳に激突し、大破した。







『皇宮を狙うとは、小賢しい真似をする』


ヘラルドは炎に包まれる戦闘艇を、何の感情も浮かんでいない眼で見ながら、にやりと笑った。


『一つ、粒子砲が奪われたが、大したことではない。我が許に、どれだけの粒子砲があると思う?
遊びは終わりだ。すべて投入し、この世界を消し去ってやる』


ヘラルドはバルコニーを後にした。


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