久遠の絆
その姿が見えなくなったところで、庭の植え込みの陰から、もぞもぞと出て来る者があった。


シャルティだ。


燃料に引火する寸前に、コックピットを飛び出していたのだ。


「あいつ、まだ何か企んでやがるな」


シャルティはヘラルドが消えた方へ走った。


「これ以上好きにはさせねえ」


廊下を曲がると、ヘラルドの纏う黒いマントの端が見えた。


懸命に足を動かして後を追う。


「ひー。この年で、このダッシュはきついぜ」


三十路前の青年が、年寄りくさいことを呟きながら、角を曲がった時だ。


赤い閃光がこちらに向かってくるのを捕らえた。


床に転がりながら、それを避けた。

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