久遠の絆
前線を中央突破したグレンの旗艦と他数隻の戦艦は、シャルティの後を追うようにして進んでいた。


そして。


「ここには田園地帯があった筈だ」


風光明媚な地として、帝国貴族の憩いの場であった。


それが……。


「中将。計器に乱れが」


「ん?……これは!」


グレンはダンと計器を殴った。


「あれを使ったか……」


「中将」


「シャルティと連絡は付いたか?」


「いえ、まだ」


「或いは、巻き込まれたか……。このまま前進だ。粒子砲を見付け次第、破壊してやる」


「はっ」


グレン率いる艦隊は北上して行った。







その頃首都にやや近い空域では、カイゼライトが、もう一隻の粒子砲搭載艦と対峙していた。


そしてすぐに、敵方の粒子砲はエネルギーの充填を開始したのだ。


「猶予はない訳だな」


「如何なさいます?カイゼライトさま」


「ランデル。私はやはり粒子砲は使えない。あちらが使うからと言ってもね」


「しかし!では、あの粒子砲を甘んじて受けると?」


「小型戦闘艇を出す」


「その攻撃は効かないのでは?」


「それでも、何もかもを奪う粒子砲を使いたくはないんだ」


小型戦闘艇が、搭載艦へと向かって行く。


後方を追随していた連合軍の戦艦からも、続々と小型戦闘艇が排出された。


搭載艦への攻撃が始まった。


禍禍しく輝く粒子砲には、やはり効かないようだ。


逆に、艦砲からの攻撃で、小型戦闘艇が撃ち落とされていく。


「カイゼライトさま。戦闘艇はやはり駄目です」


ランデルがカイゼライトに言い募った。


しかし、カイゼライトは静観していた。





しばらくして。


グレンがカイゼライトのいる空域に到達し、戦闘艇の攻撃を受ける粒子砲搭載艦を見つけた。


「ほう、やってるじゃねえか。よっしゃ、加勢するぞ!」


< 789 / 810 >

この作品をシェア

pagetop