久遠の絆
でも。


(聞かれたら、そう答えろと言われてたみたいな……?)


そんな感じを受けた。


(じゃあ、誰に言わされた?)


カイル?


右も左も分からないこの世界で、頼れる存在はカイルだけだった。


しかし彼とて、蘭にすべてを見せているわけではない。


立場もあるだろう。


見せるわけにはいかない理由があるだろう。


でもできることなら見せてほしかった。


教えてほしかった。


誰も信じられなかった自分が、初めて信じられるんじゃないかと思えた人だから。


理屈ではない。


第6感が知らせてくれるのだ。


“カイルは信じられる”と。


今まで自分の周りにいた人間とは違うのだ、と。


アンがテーブルの上を片付け退室してからも、蘭はずっと考えていた。


そして無意識のうちに呟いていた。




「カイル。信じていていいんだよね?」





















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