久遠の絆
前線での戦闘は膠着状態にあった。


グレン中将の師団が到着して以降、同盟軍の艦隊は海上に待機したまま、ぴくりとも動かなくなってしまったのだ。


夜明けとともに戦闘が再開されるものと思っていた帝国側は拍子抜けした。


おそらくは嵐の前の静けさというものだろうが、それがかえって帝国側の兵士たちの神経を弱らせ、士気を減退させるものになってしまった。


「これじゃあいかん」


熊の顔は始終渋面だった。


「しかしこちらから動くわけにもいかんしなあ」


今や同盟軍の戦闘力の方が上回っていることは明白。


傍線に徹するしかないことを、中将は悟っていた。


よって、前線はしばし停戦状態にある。



































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