久遠の絆
その日は快晴。
別邸の庭の青葉はキラキラと輝き、花壇の花たちも一斉に咲き綻んだ。
「なんだか朝からいい気分」
窓を開け放ち、寝巻きのまま伸びをする。
今日は洗礼を受ける。
緊張もしているけれど、それよりも期待感の方が大きかった。
(なんでかな?)
自分でも不思議に思う。
なんとなく、今までの自分とは違う自分になれるのではないかという思いがあるのかもしれない。
(きっとそうだ)
洗礼がどんなものなのかさっぱり見当がつかないけれど、カイルが受けろと言うのだ。
きっと悪いことではない。
(わたしはもう、傷つけられることしか知らなかった麻生蘭ではなくなるんだ。麻生蘭じゃない。
ただの蘭になろう。そして生きることを楽しむんだ!)
眩しい朝日に向かって、蘭は誓った。
洗礼というものを、かなり自分よがりに解釈していたが、真実を知らないのだから仕方ない。
そうやって蘭が一人頬を紅潮させている時に、アンや他の侍女たちが入ってきた。
「おはようございます」
「おはよう」
身支度を終え、朝餉を済ませた蘭に、アンが言った。
「本日はおめでとうございます。これから神殿に行かれるのですが、カイルさまはそちらでお待ちになっておられます。
もうしばらくしたら迎えの車が参りますのが、今少し時間がございますので、ごゆっくりなさっていてください。」
「そう、カイル来ないんだ……」
「あちらでいろいろご準備がおありなのでしょう」
「そうね……仕方ないよね。じゃあ、アンが一緒に行ってくれるの?」
するとアンは首を横に振った。
別邸の庭の青葉はキラキラと輝き、花壇の花たちも一斉に咲き綻んだ。
「なんだか朝からいい気分」
窓を開け放ち、寝巻きのまま伸びをする。
今日は洗礼を受ける。
緊張もしているけれど、それよりも期待感の方が大きかった。
(なんでかな?)
自分でも不思議に思う。
なんとなく、今までの自分とは違う自分になれるのではないかという思いがあるのかもしれない。
(きっとそうだ)
洗礼がどんなものなのかさっぱり見当がつかないけれど、カイルが受けろと言うのだ。
きっと悪いことではない。
(わたしはもう、傷つけられることしか知らなかった麻生蘭ではなくなるんだ。麻生蘭じゃない。
ただの蘭になろう。そして生きることを楽しむんだ!)
眩しい朝日に向かって、蘭は誓った。
洗礼というものを、かなり自分よがりに解釈していたが、真実を知らないのだから仕方ない。
そうやって蘭が一人頬を紅潮させている時に、アンや他の侍女たちが入ってきた。
「おはようございます」
「おはよう」
身支度を終え、朝餉を済ませた蘭に、アンが言った。
「本日はおめでとうございます。これから神殿に行かれるのですが、カイルさまはそちらでお待ちになっておられます。
もうしばらくしたら迎えの車が参りますのが、今少し時間がございますので、ごゆっくりなさっていてください。」
「そう、カイル来ないんだ……」
「あちらでいろいろご準備がおありなのでしょう」
「そうね……仕方ないよね。じゃあ、アンが一緒に行ってくれるの?」
するとアンは首を横に振った。