久遠の絆
淡い光が見えた。


(光の門?)


目の前に突然現れた光のゲートに、彼女は躊躇うことなく飛び込んだ。



『ラーーン!!』



後ろから父親の酒やけしただみ声が追いかけてくる。


恐怖に顔を引きつらせながら、ランは光のゲートを潜り抜けた。











何かに足を取られ、蘭は倒れ込んでしたたかに腹を打ち付けた。


「蘭さま!」


ニアスの悲鳴のような声と共に、側に駆け寄る足音がした。


「いったいこれはどういうことです?!」


蘭に手を貸して起き上がらせながら、ニアスは彼女のひどい有様に表情を歪めた。


見れば、胸元ははだけ、丈の長いスカートはところどころ破れていた。


「あっ」


小さく叫ぶと、蘭はがたがたと震え始めた。


先程の恐怖が甦る。


「お姿が見えないと思ったら、いきなり宙より現れて、何があったんですか……?」


ニアスの声が耳に入らない。


(夢じゃないの?夢じゃないの?)


訳がわからないのは蘭のほうだった。


時空を越える船ではあいつにあったときは夢であったのに、今は現実に蘭の衣服は乱れている。


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