優しすぎるイケメン王子*擬人化・短篇*
**1
***
都心のオフィスビルが立ち並ぶ片隅に、その公園はあった。
都会にしては広い敷地。
緑に囲まれた場所。
昼間は賑やかに親子連れがボール遊びをしたり、バドミントンしたり。
サラリーマンとおぼしきイケメン王子様がいた。
おぼしきというのは、詳しくは知らないということ。
年の頃は30過ぎくらいか。
スーツ姿で夕方6時過ぎ。
必ずこの公園を通る。
有名なパン屋さんのラスクを片手に。
私はいつもその時間、公園のベンチでひとり腰掛けている。
彼を待つために。
外灯が幾つかあるとはいえ、夏場は日が長いけれど冬場は一瞬で暗くなるし、底冷えする。
< 1 / 13 >