優しすぎるイケメン王子*擬人化・短篇*
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「高校時代の彼氏よ。進学で自然消滅したの」
動物病院で、昼休み。
私の体をブラシで毛繕いして、お湯で濡らしたタオルで拭いてくれる海深さん。
「えっ!?彼氏ですか!?先生に!?」
「……いつからいたの」
ふう、とため息をつく。
受け付け兼、看護士のようだ。
「どんな人ですか!?」
まだ20代の、実習生らしい彼女が、胸の前でプラスチックのスプーンを持って、目をキラキラさせる。
どうやら向かいのコンビニで買ったデザートのスプーンが入ってなかったらしい。
「いいから。お昼、食べちゃいなさい」
「はあい」
口を尖らせると、休憩室に向かう。