優しすぎるイケメン王子*擬人化・短篇*


その日は台風が来ていた。
季節外れの寒さと雨で、凍えそうに震えていた。


足早に行きすぎる人々。


今日は来ないのかな……
こんな日に来るわけないか。


車のライトが通りすぎ、自転車が走ってきた。


ビニール傘を風から避けるように前に傾けながら向かってきたスーツ姿の男の人を見て、反射的に彼だと思った。


嬉しくて駆け出したところに、車のライトで目が眩んだ。



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