ホテルの“4つのクリスマスストーリー”
一通り景色を堪能し終え満足すると、バーに足を踏み入れた。
壁に飾られた著名人の写真を横目に迷わずカウンター席の方へと身体を向ける。
カウンターの奥にはゆったりとしたスペースが広がり、高級感あふれる革張りの黒いソファチェアとテーブルが気持ちのよい距離感で散りばめられている。
壁にはアンディ・ウォーホルのリトグラフが4枚掛けられ、そこは限りなくシックで大人な空間に仕上げられていた。
視線を手前に戻すと、あの窓際席が見えた。東京タワー夜景が一望できる、特等席だ。
これだけ景色を気に入っておいて、2年前からわたしはここに来るとカウンターを希望する。
あの窓際席で始まって終わったつかの間の恋が、わたしをそうさせているのかもしれない。
『最近、ずっとカウンターですね』
バーテンダーが、わたしを案内しながら言った。
「ひとりの夜には、ちょうどよくて」
あれは2年前の冬。
小さな会話と12月の寒さが、あの時のまま保存されていた記憶を鮮やかによみがえらせる――
壁に飾られた著名人の写真を横目に迷わずカウンター席の方へと身体を向ける。
カウンターの奥にはゆったりとしたスペースが広がり、高級感あふれる革張りの黒いソファチェアとテーブルが気持ちのよい距離感で散りばめられている。
壁にはアンディ・ウォーホルのリトグラフが4枚掛けられ、そこは限りなくシックで大人な空間に仕上げられていた。
視線を手前に戻すと、あの窓際席が見えた。東京タワー夜景が一望できる、特等席だ。
これだけ景色を気に入っておいて、2年前からわたしはここに来るとカウンターを希望する。
あの窓際席で始まって終わったつかの間の恋が、わたしをそうさせているのかもしれない。
『最近、ずっとカウンターですね』
バーテンダーが、わたしを案内しながら言った。
「ひとりの夜には、ちょうどよくて」
あれは2年前の冬。
小さな会話と12月の寒さが、あの時のまま保存されていた記憶を鮮やかによみがえらせる――