ホテルの“4つのクリスマスストーリー”
週明けの月曜日、 いつも相談に乗ってくれる会社の先輩に早速報告すると案の定大ブーイングだった。


『絶対怪しい!その流れ、確実に遊ばれるパターンでしょ』

「わかってますって。わかってるんだけど・・・」


もう、恋に落ちちゃった・・・っていうのは、言わないでおこう。

言葉にしたら最後、もう止まらなくなってしまいそうだから。



そして、約束の金曜日がやってきた。

12月になった途端、街にはクリスマスの破片が飛び散り、溢れ返るカップルとの組み合わせでどうしたってひとりが惨めに感じてしまう。

いつもならこんな夜はさっさと家に帰って、ぬくぬくと誰の介入も受けない時間を美味しく噛み締めているだろう。だけど・・・


― また、ここで会えるかな?・・・


彼の言葉をこっそりと思い出し、ひとりなのにこぼれてしまいそうになる笑みを必死に自分の中へと手繰り寄せる。
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