ホテルの“4つのクリスマスストーリー”
【第2話】幼なじみ
思えばいつも、隣には彼がいた。
雨予報だったのに、木漏れ日の差し込む小春日和になった。あの子は昔から晴れ女だ。
― 健やかなる時も、病める時も・・・
お決まりの文句が聞こえ始めると、その神聖で縁遠い空気に、少しだけ眠気を誘われた。天井の格子から差し込む柔らかい光に照らされて、新郎と新婦が誓いのキスを交わす。
ついこの間まで新婦の彼女は、結婚しないことのメリットとデメリットを順番に挙げながら、まるで女子高生みたいにわたしと笑い転げていたのに。
今日は地元の友人の結婚式。リゾート感のあふれる舞浜で式を挙げることは彼女が昔から望んでいたことだった。パートナーがそれをかなえてくれるような素敵な男性で、よかったと思う。
てっきり彼女は、何年も付き合っていたわたしも知る地元の男性と結婚すると思っていた。笑ったり泣いたり、なにしろドラマティックな大恋愛だったから。
けれどある日、彼女から「別れた」とメールが来た。
理由を聞くと「なんだか結婚して、子供が欲しくなった。わたしが彼を好きすぎるから、結婚はきっとうまくいかない」と言っていて、わたしには訳がわからなかったのをよく憶えている。
結婚って、それ自体が先に来るものじゃなくて、大好きな人ができて、その人とずっと一緒にいたいからするものじゃないのかなぁ・・・