ふたりのアリス
あずみは高校卒業と同時に生まれ育った横浜を離れ、一人暮らしを始めた。
知り合いがいない新しい土地で生活したかったからだ。
この都心にも、それなりに近い学園都市は、いくつもの大学が建ち並び、街は学生達で賑やいでいる。明治に建てられた洋風な建物が並ぶ町並みは異国情緒に溢れていて、あずみは一目でこの街が気に入った。
あずみは記憶力には自信があった為、大学はそれなりのレベルのところに入る事
が出来たし、葵と果穂という友達もできた。
ちょっと貧乏な点を除けば特に不満はない。
今では普通の女子大生として過ごしている。
父とは絶縁状態で、実家からの仕送りは当然なく、バイト代で生活費を捻出する
生活を送っていた。
(今月もギリギリだ・・・)
仕送りを貰っている子は生活に余裕がある様だが、あずみには夢のまた夢だった。
いくつかバイトを掛け持ちしているが、主戦力はガソリンスタンドだ。
体力的にはきついが、マラソンで鍛えた体力には自信があった。
(今日はスーパーの得々市だから、揚げ物が安いな・・・。コロッケにしよう!
でも、あそこは野菜が高いからキャベツは違うところで買って。
全く何でもかんでも値上げラッシュで、ますます苦しい~・・・)
夕方、あずみはどの順番で店を回るか頭をフル回転して考えていた。
広告で特売の情報は欠かさずチェックしているので、ドケチな主婦並みの格安情報が、あずみの頭にはインプットされていた。
今日の侘びしい夕食の事を考えていると思わず頭を抱えて唸った。
(はぁ。でもスタンドのバイトをもう少し頑張れば肉が食べられる!)
あずみは、生活の上で必要な衣食住の中で食への執念が何よりも強かった。
普通の女の子なら「ちょっと嫌だ」と思う様なアパートでも住めたし、服にも興味がない訳ではないが同年代の子と比べると一ヶ月の衣装代は低いほうだった。
(でも食だけは譲れない!)
人より食費に掛ける割合が高いのは知ってはいるが、止められない。
大体、マラソンをやっていた時は大好物の甘い掌サイズのケーキを一人で平らげる事も、ちょくちょくあったので、今更この食欲を止められるわけがない。
あずみにとって、どんな事があっても死守したいのが食だった。
知り合いがいない新しい土地で生活したかったからだ。
この都心にも、それなりに近い学園都市は、いくつもの大学が建ち並び、街は学生達で賑やいでいる。明治に建てられた洋風な建物が並ぶ町並みは異国情緒に溢れていて、あずみは一目でこの街が気に入った。
あずみは記憶力には自信があった為、大学はそれなりのレベルのところに入る事
が出来たし、葵と果穂という友達もできた。
ちょっと貧乏な点を除けば特に不満はない。
今では普通の女子大生として過ごしている。
父とは絶縁状態で、実家からの仕送りは当然なく、バイト代で生活費を捻出する
生活を送っていた。
(今月もギリギリだ・・・)
仕送りを貰っている子は生活に余裕がある様だが、あずみには夢のまた夢だった。
いくつかバイトを掛け持ちしているが、主戦力はガソリンスタンドだ。
体力的にはきついが、マラソンで鍛えた体力には自信があった。
(今日はスーパーの得々市だから、揚げ物が安いな・・・。コロッケにしよう!
でも、あそこは野菜が高いからキャベツは違うところで買って。
全く何でもかんでも値上げラッシュで、ますます苦しい~・・・)
夕方、あずみはどの順番で店を回るか頭をフル回転して考えていた。
広告で特売の情報は欠かさずチェックしているので、ドケチな主婦並みの格安情報が、あずみの頭にはインプットされていた。
今日の侘びしい夕食の事を考えていると思わず頭を抱えて唸った。
(はぁ。でもスタンドのバイトをもう少し頑張れば肉が食べられる!)
あずみは、生活の上で必要な衣食住の中で食への執念が何よりも強かった。
普通の女の子なら「ちょっと嫌だ」と思う様なアパートでも住めたし、服にも興味がない訳ではないが同年代の子と比べると一ヶ月の衣装代は低いほうだった。
(でも食だけは譲れない!)
人より食費に掛ける割合が高いのは知ってはいるが、止められない。
大体、マラソンをやっていた時は大好物の甘い掌サイズのケーキを一人で平らげる事も、ちょくちょくあったので、今更この食欲を止められるわけがない。
あずみにとって、どんな事があっても死守したいのが食だった。