君の世界から恋が消えた日
ーそれは中学に上がる少し前

事の発端は一通のメールからだった

「お父さんが帰ってきた」
その10文字を理解するのに、数分かかった

父さんは母さんの俺が腹に授かって
すぐに姿を消した
今じゃよくある話だ

母さんはシングルマザーとして
俺を育て貧しいながらに平穏に暮らしていた

母は父を恨んでいなかった
それどころか消えた父さんの身をいつも案じていた
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