君の世界から恋が消えた日
あの人はあんなに執着した息子に対して
引き止めもせず
そればかりか涙も流さなかった

だが本当に意外だったのは
それに対してショックを受けている
自分だった


事件が起きてから
両親の離婚と

ある日俺は周りの目紛しい変化する現実に
どこか取り残されたような

胸の虚空に目を背けるように
病室で眠るハルに向かって話し続けた



「俺の母、再婚相手がいたんだ
ははっ、あの人にとって
俺は本当に飾りだったんだよ」


ハルは俺の手をぎゅっと握った
< 714 / 723 >

この作品をシェア

pagetop