100回の好きの行方
「なっ、こんなの無理!!」

 千華の準備したドレスは、胸も肩も背中も露出しているミントグリーンとシャンパンゴールドのドレス。唯一安心出来るのは、水着の様に肩紐が首の後ろでリボンの様に結べることだ。だが、そのリボンがいつ外れるか分からない心配はある。

「あんたね、胸がでかい子が、露出しないドレスなんか着たら逆に胸に目が行くわよ?さっきのドレスなんて着たら、バランス悪いし、AV女優みたいになるわよ!」

「A、AV女優に失礼でしょう!?」

「もう~!!いいから着なさい!」

 ぴしゃりと言われ、麻嘉は渋々袖を通す。

 着てみて分かったが、千華の言うように先程自分が着ていたワンピースドレスよりバランス良く、肩や背中が開いてる分、確かに胸に視線が集中することはなさそうだ。

 だが、これまた手渡された時は気がつかなかったが、裾に大胆なスリットが入っていたのだ。

「千華~!!」

 わなわなしながら鏡に越しに、麻嘉は千華に軽い怒りをぶつけようとするが、本人はこうなる事を予想してたように、"靴はこれね~。髪はおろせば背中は気にならないから~。"と、ニヤニヤしながら麻嘉に話してくる。

「~~~!もうっ!!ネイルを頼んだだけなのに!しかも、このガーターストッキング何よ!!」

「ん?履いたことないの?」

「ないわよ!!」

「えー?今どき?1度くらい履いたことあるわよ?みんな。」

 わざとらしく話す千華に、麻嘉は戦意喪失した。
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