１００回の好きの行方
「これはいいわよ？観られてるかもってドキドキして、身が引き締まるから、背筋がシャンとなるし。」

　千華の話を聞きながらも、荷物の確認をする麻嘉は、聞いて聞かない振りを徹底する。それを知っている千華は、意地悪そうに笑いながら麻嘉を諭すように話を続ける。

「脱がなきゃ分からないわよ。ガーター履いてるって。」

　それでも何も言わないため、からかうように麻嘉に近寄り耳元で呟いた。

「篤人に襲われなければ大丈夫よ。」

　その言葉に、耳まで真っ赤にした麻嘉は、ニヤリとしている千華を軽く睨んだ。

　期待してるわけじゃないが、麻嘉は二人で出掛けることになった状況を少なからず喜んでいたのだ。

　恋人でもないくせに、車の中で軽く食べられるお弁当作り、前回、台風のために着ることが出来なかったかわいい下着を鞄の中に忍ばせていた。

　でも、そんな気持ちを千華に見透かされているように感じ、居心地が悪くなった。

「……麻嘉だけじゃないよ。私も、同じ状況なら期待するし、攻めるよ。」

「…千華……。」

「私は、篤人の気持ちは麻嘉にあるように感じるんだけど、な。」

　優しい言葉をかけられたが、麻嘉は"どうかな？"と呟いただけだった。
< 105 / 188 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop