100回の好きの行方
 そんな感じで待ち合わせより早く駅につくと、尚志はコンビニに買い物に行ったのだ。

 尚志は、麻嘉を見てから、あの姿が頭から離れなかった。

『ねぇ、私思うんだけど。あいつもなんか満更でもなさそうでしょ?あと一歩だと思うのよね。今回の1泊で、ヤっちゃったりしないかしら?次、攻めればくっつくような気がするんだよね!』

 そう千華に言われ、"攻めたドレスにさせるから、荷物持ちよろしく!"と、今日駆り出されたのだが……。

 ふと尚志は思ってしまう。

ーあの格好なら篤人じゃないやつも簡単に引っ掛かるぞーと

 現に今、自分も甘い蜜に吸い寄せられそうだった。

 コートを脱ぐまで麻嘉の格好は分からなかったが、ボタンを千華が外し、前が開かれた瞬間、目に入ってきたのは豊満な胸、次に入ってきたのは際どい位置のスリットから見え隠れする足。

 後ろを振り向いた時には、ざっくりと開いたドレスから見える背中だった。

 間違いなく自分の彼女がしたら心配で仕方ない格好だ。

「あいつ、大丈夫か?」

 念のためと、呟きながらコンビニに売ってある中で一番個数が多い避妊具を買い、ポケットにしまいこんだ。

「あいつ、かなりあれだもんな。質より量。」

 付き合いが長いため、尚志は篤人が毎日ジムに通う理由を知っているのだ。
< 107 / 188 >

この作品をシェア

pagetop