100回の好きの行方
ー手作りお弁当ーの行方
 土日は、モヤモヤとした感じで過ごし、兄の嘉也(ひろや)に、気持ち乱れてるぞと呟かれ、離れで過ごす父とは顔を合わせることはなかった。

 母がなくなり、5年。

 ほぼ、麻嘉の入社とともに、母は息を引き取った。

 離れで療養していたため、父は、暫くしたらそこを生活の拠点とし、華道家が集まる時や来客があるときしか、本家には現れない。

 けして、仲が悪いわけじゃないが、必要以上には付き合わない二人だからこそ、離れにいるにも関わらず、電話で、ー約束ーの話をされたときは、驚いたが、現実に戻された。

*******

 月曜日、5時に起床し、三人分の朝食と、二つのお弁当を作った。

 それを嘉也は目敏く見つけて、からかった。

「弁当だ。愛しの片想いの彼に?」

 麻嘉は、顔を赤らめながらキッと嘉也を軽く睨み付ける。

「いつもより、一時間早いわけはこれか。」

 そう言いながらお弁当に目をやり、"好き、ハート"とかかいたら?と、意地悪に笑う。

「コクった!でも、女子力ないからって振られた!だから、今日から、女子力をアピールするの!!」

 嘉也は、からかったつもりがまさか、もう、気持ちを伝えていたのかと驚いた。
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