100回の好きの行方
 スーツのジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイも外し、ベッドのサイドテーブルに眼鏡を置く一連の仕草を見ていた麻嘉は、サイドテーブルに置いてあったものに驚いた。

 箱入りの避妊具に、目が釘つけになった。

 自分の部屋にはなかったため、備え付けじゃないのは明確だ。それに普通のホテルには、あるはずのないものだ。そんなことを考えていると、頭上から声が聞こえる。

「随分、余裕だな。」

 ハッとして視線を戻すと、上半身はもうすでにはだけていて、露になった部分を篤人に眺められていた。

 シーツを手繰り寄せようにも足元にあり、二人で踏んでいるため、麻嘉は咄嗟に胸を隠すようにうつ伏せになった。

 そうしたことで、次は背中が露になってしまったため、篤人の行動が分からずに息を殺していると、背中に息がかかるのが分かった。そして次の瞬間、チュッとうなじのあたりを軽く吸われ、麻嘉は仰け反ってしまう。

「あんっ!!」

 自分でもこんな声が出たことに驚いていると、それを合図に容赦ない甘い攻めを始める。

 背中に何度目繰り返されるキスはいつのまにか、軽いものから吸い付くような激しいものに変わり、それだけで気が遠くなりそうだ。
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