100回の好きの行方
『最初は優しくしてくれるんですけど、案外肉食みたいで朝までベットの中から出してくれないんですっ。』
菜月が何度も囁いた言葉に惑わされたが、あれは嘘だったんだと思うと、正直嬉しかった。
「俺、本当は企画部やデザイン部を希望してたんだ。でも、さすがにデザインなんてしたことないからもちろんダメで……それなら企画でと思ってた。それもダメだったけど。」
篤人は、あまり自分のことを話さないため、その話は同期の誰も知らない事実で、麻嘉も少し驚いた。
ふいに、眼鏡をとり篤人は、シャンパンが置いてある机に置いた。
『作品を造っているものを見て欲しいと思っても、機会がないと目に触れない。作品を生み出すのはデザイナー。作品を、世に広げるのが営業でしょう?営業も素敵なお仕事ですよ!』
篤人はこの言葉をお守りに変わりにして、今まで営業を頑張ってきた。
「営業で頑張って来れたのは、麻嘉の言葉があったから。それから、鋏のおかげかな。」
「ん?私、なんかしたかな?」
麻嘉はなんのことやら、という感じで首を捻る。
「あのとき俺、眼鏡してなかったから相手が着物着ていて、その女性の稲荷寿司が美味しいってことしか覚えてなくて、鋏返せなかったんだよ。」
菜月が何度も囁いた言葉に惑わされたが、あれは嘘だったんだと思うと、正直嬉しかった。
「俺、本当は企画部やデザイン部を希望してたんだ。でも、さすがにデザインなんてしたことないからもちろんダメで……それなら企画でと思ってた。それもダメだったけど。」
篤人は、あまり自分のことを話さないため、その話は同期の誰も知らない事実で、麻嘉も少し驚いた。
ふいに、眼鏡をとり篤人は、シャンパンが置いてある机に置いた。
『作品を造っているものを見て欲しいと思っても、機会がないと目に触れない。作品を生み出すのはデザイナー。作品を、世に広げるのが営業でしょう?営業も素敵なお仕事ですよ!』
篤人はこの言葉をお守りに変わりにして、今まで営業を頑張ってきた。
「営業で頑張って来れたのは、麻嘉の言葉があったから。それから、鋏のおかげかな。」
「ん?私、なんかしたかな?」
麻嘉はなんのことやら、という感じで首を捻る。
「あのとき俺、眼鏡してなかったから相手が着物着ていて、その女性の稲荷寿司が美味しいってことしか覚えてなくて、鋏返せなかったんだよ。」