100回の好きの行方
その言葉に麻嘉は入社したての頃の出来事を思い出した。入社して朝早く、ロビーの花を生けた帰り、守衛のおじちゃんに作ってきた稲荷寿司を、たまたま朝早く来ていた男性社員におすそ分けしたことを。
そして、営業に配属され落ち込んでいる彼に、声をかけたこと。
麻嘉も急いでいたため、男性が誰かを気にすることはなかったし、営業に配属された男性は多かった。
言われてみたら篤人だったかも知れないと思ってしまった。
「麻嘉は覚えてないかも知れないけど……救われたんだ。」
「……今日は、よく話すね。」
いつもより饒舌に話す篤人が新鮮で、麻嘉は嬉しそうな顔を向けるが、未だに入り口付近から離れることが出来なかった。
近づいてまた傷つきたくないと、どこかでストッパーがかかる。
「同期って言う関係が心地よかったのは事実だ。今の関係を壊したくない、このままで十分だ、そう思ってた。もう何年も恋愛らしい恋愛してねーから、自分でよく分からなくて…………。俺の全部受け入れてくれるかとか、考えるし、今のままが良くて、ギクシャクしたくなくて………。」
途中シャンパンを飲みながら、麻嘉が聞いたことないくらい話続ける篤人に、呆然としてしまう。
そして、営業に配属され落ち込んでいる彼に、声をかけたこと。
麻嘉も急いでいたため、男性が誰かを気にすることはなかったし、営業に配属された男性は多かった。
言われてみたら篤人だったかも知れないと思ってしまった。
「麻嘉は覚えてないかも知れないけど……救われたんだ。」
「……今日は、よく話すね。」
いつもより饒舌に話す篤人が新鮮で、麻嘉は嬉しそうな顔を向けるが、未だに入り口付近から離れることが出来なかった。
近づいてまた傷つきたくないと、どこかでストッパーがかかる。
「同期って言う関係が心地よかったのは事実だ。今の関係を壊したくない、このままで十分だ、そう思ってた。もう何年も恋愛らしい恋愛してねーから、自分でよく分からなくて…………。俺の全部受け入れてくれるかとか、考えるし、今のままが良くて、ギクシャクしたくなくて………。」
途中シャンパンを飲みながら、麻嘉が聞いたことないくらい話続ける篤人に、呆然としてしまう。