100回の好きの行方
「やっぱり見えないから、コンタクトにしようかな?それなら見えるし。」

 その言葉に、麻嘉は咄嗟に"ダメ!!"と言った。篤人が怪訝な視線をするため、麻嘉はおずおずと話した。

「ダメ……。コンタクトにしたら、さらにモテちゃうもん…。」

 麻嘉は、会社で女子社員が"嵜村さん、コンタクトにしたらいいのに~!"と話していることを知っていたから、眼鏡の姿のままでいて欲しかったのだ。

 そんなちょっぴりした嫉妬心を垣間見た篤人は、くすくす笑いながら"了解"と呟き、自分のスーツに手をかけた。

*******

 あれからどれくらいの時間が経っただろうか。

 内装も夜景素晴らしい、セミスイートにいるにも関わらず、麻嘉と篤人は情事にふけっていた。

「んっ……あっ、ふぁあんっ!!んっーー。あつとぉ!!」

「やべっ!!まじ、気持ちっ!!」

「はぁ、はぁ……。んっ!………あぁっっ。」

「麻嘉っ締め付けるなってっ!!」

「んっ、そっ、そんなの……わからない……。」

 かれこれこのやり取りを何回しているだろうか。

 二人汗だくになりながら、互いを求めあっており、人にこんなにも欲情する気持ちがあるのだろうかと考えてしまうほどだ。
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