100回の好きの行方
 麻嘉にとって、初めての相手の彼は、気持ちがあやふやな状態で体を重ねた時よりも、何倍も求めてきた。

 あのときよりも比べ物にならないくらい、優しく激しく、時には焦らしてくるため、麻嘉は休む暇もない。

 だが、驚くことにどれだけ求められても、嫌な気持ちや疲れた気持ちにはならないと言うことだ。

 求められたら応じ、さらに自分で求めていた。

「んんん……。んっ……。」

「ま…ひろっ……。」

「もうっ……。だめっ…!!お願……いっだからっ……。」

 限界が近いことを訴えると、篤人に唇を塞がれ、激しく揺さぶられ始めた。

 唇を塞がれても、漏れる甘い声。

 気がつくと、シーツが荒々しく擦れる音と、二人の汗ばんだ体と体が触れ合う音が、いつしかしなくなっていた。

 何度抱き合ったか分からないが、お互いを抱き締め会いながら、麻嘉も篤人も幸せそうな顔で眠っていた。

 どこからケータイの呼び出し音が聞こえ、麻嘉は目を覚ました。どうやらメールだったようで、すぐに音は途切れた。

 のそりと、起きようとすると体が思うようには動かなかった。

 抱き合った余韻で、体全体が重く力が入らないのも事実だが、篤人の手が体に巻き付いており、少しでも体を捩ろうとすると、力強く抱き締められるのだ。


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