１００回の好きの行方
「篤人も似合ってるよ？」

　二人で言い合いながら、見つめては恥ずかしくなり、目線を外す。

　そんな付き合いはじめの学生のような二人は、周りからは暖かい目で見られていた。

「荷物持つよ。あと、これ。」

　篤人から差し出された手には、この店の小さな紙袋が握られていた。麻嘉が首を傾げると、"仕事の時、つけられる物にした。"と、そっけなく言われる。

　すぐに中を確認し、それが髪止めだと分かると、すぐに値札を店員さんにとってもらい、髪を少し掬って髪を止めた。

「ありがとう！」

　そう話て、篤人にかけより抱きつくように腕を絡めると、篤人も優しく笑った。

　やっと二人の時間が進みだす予感がした頃、携帯の電話がなり、二人の甘い時間が引き裂かれた。

　麻嘉の携帯がなっているようだった。

「あっ、ごめん……。兄からみたい。」

　申し訳なさそうに言いながら電話にでる麻嘉をみて、篤人も無断外泊させてしまい申し訳なく思った。

　もし、無断外泊で怒られるのなら一緒に謝りにいこう。

　嫌、一緒に実家にいこう。

　そう考えていたが、電話の内容はどうやら違う内容のようで、神妙な顔をした麻嘉が篤人を見ていた。
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