100回の好きの行方
「電話の内容がちっとも理解出来ないんだけど?」

「ああ。まぁ、なんと言うか……暴れてる。」

「「はぁ!?」」

 麻嘉が兄から電話を受けた際、"お前がいないと、話がよくわからない。""意味不明なことばかり話してる。"だから、戻って来てほしいと言われ、二人で、何のことやらと車中で話ながら実家に向かったのだが、今の話でさらにわからなくなった。

「なにが暴れてる……の……?」

 客間近くの曲がり角に差し掛かり、そう話していると、客間の方から、大きな声が聞こえてきた。

"君は何をしているんだ!!いい加減にしないか!!"

"うるさい、うるさーい!!"

ーガチャンー ーバリン!!ー


 聞き覚えのある声と何かが割れる音。

「この声って?」

「……社長と深山?」

 麻嘉と篤人が互いに話すと、嘉也のため息が聞こえてくる。

「今朝、謝罪しに来たんだけど……色々と確信に迫ると、社長はあの女にそそのかされたとか話すし、それを聞いた女が、泣き出したり、怒りだしたり、麻嘉を出せとか言い出して、最終的には客間の花器やら花瓶やらを投げ出して……あんな感じが続いてるわけ。」

「えっ客間の花瓶!?花器!?あれ、高いんじゃないの?」

 
< 173 / 188 >

この作品をシェア

pagetop