100回の好きの行方
 二人のやり取りを聞いている篤人は、麻嘉の表情から結構高価ものが破損したことが分かった。

「二人の邪魔出来ないと思って、麻嘉呼ばないつもりで居たんだけどさ、埒があかなくて……。悪いな。」

 最後の台詞を篤人に向かって言ったため、篤人は、すぐに"とんでもないです。"と返した。

「父さん、つれてきたよ。」

 客間の障子をあけると目の前には、見るに堪えない無惨な花や花器たちの姿があった。

「「……………。」」

 篤人と麻嘉は目を見開き、数秒の間固まった。

 麻嘉の父と社長がこちらを見ると、すごく安堵した顔になり、助けを求めているのが分かる。

「……深山さん?」

 麻嘉は、泣き崩れ、項垂れている菜月に恐る恐る声をかける。麻嘉の声を聞くなり、起き上がり、麻嘉のそばまでくると、いきなり、麻嘉の頬を叩いた。

「深山!?お前何してるんだよ!!!」

 その場にいたみんなが、菜月の行動に驚き、声を出した篤人と同じ気持ちであった。

 だが、菜月は篤人がこの場所にいることに動揺を隠せない様子であった。

「…………っ………みんな、みんな朝霧さんが悪いのよ!!」

 そう話すと、また泣き出し、その場で崩れ落ちた。
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