100回の好きの行方
 それから話された内容は、実に勝手なもので、逆恨みと言って良いほどだった、

 麻嘉は記憶にもないが、菜月は麻嘉ことを学生時代から知っていたようで、話したこともあるらしい。

 学生時代の彼に、麻嘉が好きだからと振られたこともあったようだ。

 そして、分家の門下生であったことも判明した。その、師範との間にいざこざがあり、麻嘉を逆恨みするきっかけになったようだ。

 分家の師範の事を好きだった菜月は、どうにかして彼と付き合いたく、分家の教室内で揉め事を起こしたらしい。

 その事で、教室は追い出され、師範の母親からは煙たがられ、あろうことかバレることはないと思い、"朝倉霧島流の娘、麻嘉さんと婚約している"と、嘘をついたのだ。

 昔も"麻嘉"を理由に断られた経緯もあり、絶対許せないと思っていた時に、同期入社したのだ。

 本社勤めのデザイン部を希望していたのに、菜月の配属は支社の販売部。

 自分の希望をなんなく手に入れた、麻嘉を恨まずにはいられなかった。

 入社式でひとめぼれした篤人は、本社ロビーの花を生けていた麻嘉に心ひかれたのを見て、何かのきっかけになるかもと、麻嘉の忘れたハサミを持ち帰った。
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