100回の好きの行方
 仕事の大きい小さい、相手が偉い人でも一般人でも、手を抜かずに誠心誠意仕事に取り組んでいることを話すと、"それは篤人のことでしょ?"と逆に言われ、照れてしまう一面もあったりした。

「そうか………。さっき佐伯さんから電話があったんじゃよ。」

「「課長から!?」」

「あぁ。彼は悪くないのに、謝罪の言葉と会長からの伝言を伝えるためにね。」

 横から嘉也が口を挟むため、どうやら佐伯からの話をしっている様子だ。

「霧加屋ギャラリーと新生フラワーシリーズのデザインを両方して、会社には必要なときに出てくるフリーランスになったらどうかと言う提案だったよ。貴乃おばさんと会長とでは話がついているみたいで、あとは麻嘉次第だ。」

「兄さん……。私……。」

 麻嘉からしたら、貴乃にも会社にも迷惑をかけたが、デザインが出来るのなら願ったり叶ったりの提案だ。だが、家業を、兄を、手伝いたいのも事実だ。

「麻嘉。五年と言ったのはあくまでも、わしの希望じゃ。麻嘉はどう考えている。」

 父に尋ねられた。

 あまりにもまっすぐに見られ、躊躇してしまうが、麻嘉は父に向き直ると、自分の気持ちを話す。

「私は、デザインも好き。でも、家業も好きだから兄の手伝いもしたい。それが素直な意見だよ。」

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