100回の好きの行方
 麻嘉は、後で渡そうとしていたお弁当入りの袋を手に、立ち上がった。

「今日はお弁当、作って来たんだ。私のこと、あまり知らないのに女子力ないって言われたくないし。…はい。」

 篤斗は、目の前に出された袋には手を出さず、目を見開き驚いた。

「私、本気なんだからね!好きなんだからね!」

「っばか!!あっ、朝から何言ってんだよ?」

 麻嘉の言葉に、目を逸らし、自分のパソコンを立ち上げ仕事の準備を始める篤斗。そんな態度に少し虚しさを感じながらも、篤斗のデスクの上に"ドンッ"と片手を付き、見下ろした。

「ばかって何よ?」

 座る篤斗は、見下ろされた視線から逃れようと下をむくが、麻嘉はそうはさせてくれず覗き込み、篤斗と視線を合わせようとする。

「はぁぁ。そんなことより早く、次の"フラワーシリーズ"のデザインをさくっとあげろよ。」

 明らかに目線をはずし、ため息をつかれる。

「そんなこと……。とにかく!!さくっとお弁当うけとってよ…。」

 意気込んで言うつもりが、最後の方は、小声になってしまう。

 中々受け取ろうとしない篤斗に、居たたまれなくなり、麻嘉はお弁当の袋を篤斗の前から下げ、"せっかく、作ったのにな…。"と、席に帰ろうとする。

 そんな姿を見てか、"わっ分かったよ!今日だけだからな。"と、ぶっきらぼうに言いながら受け取ってくれた。
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