100回の好きの行方
「ちょうどだったね。」

「酔い醒まし出来たから良かったよ。」

 篤人と麻嘉がそんな会話をしていると、尚志がからかうように割り込んでくる。

「今日は、熱い夜になりそうだな。なっ篤人?」

「うるさいっ。黙ってろよ!」

「麻嘉、こいつ欲求不満でさイライラしてんだよ。キスしたい、抱き締めたい、ヤりたいって飲みながら、ずーっと言ってたから、今日は寝れないんじゃない?」

「うるせー!言ってないし!!」

「あはははっ。今日はじゃなくて、今日も寝せて貰えないんだったな。」

 尚志のセリフに不機嫌を露にする篤人だが、ここ数週間まともに会っていない二人を知ってるだけに、熱い夜が待ち受けているのは、誰にでも分かることだった。

 千華に言われるまで、麻嘉は、篤人がどれほど性に貪欲かは知らなかった。

 初めての恋人、初めての相手。

 だから、1日(一晩)で1、2回が普通じゃないか、もちろんそれより少ない人も、多い人もいるだろうけどと聞いたとき、思わず篤人ととの1晩の回数を数えてしまい、顔を真っ赤にしたのは言うまでもない。

 散々からかわれ、篤人のアパートに帰ろうとすると、千華がニヤリと二人に向けて笑い、"いい報告まってるから。"と、ウィンクしてきて、慌てる篤人と首をかしげる麻嘉は、千華たちを見送った。
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