100回の好きの行方
「女子力が高いやつで、色気があるやつが俺はいいんだよ!」

 お前には無理だろうなと、言いたいような顔を向けられ、麻嘉は、ムカッとする。

「私、料理も掃除も出来るもん!メイクはナチュラルメイクなの!それに、胸だってあるし、Eカップ!色気なら充分でしょ!?」

 その発言に、周りの目が麻嘉の胸に集中するのが分かる。ふだん、体を強調するような服を着ない麻嘉から、胸の大きさは判定が難しいのか、みんな半信半疑。

「っばか!?何、言ってんだよ!!」

「篤斗が色気ないって言うから……。」

 ちょっと顔を赤らめて、目くじらをたてる篤斗に、しょぼんとし明らかに落ち込む麻嘉。

 周りがニヤニヤとからかうような視線に篤斗は、堪えられなくなったのか、席を急に立ち、"じゃーな。"と出ていこうする。

 麻嘉が腕を掴み、帰ろうとする篤斗を阻むと、軽く睨まれる。

「そーゆーデリカシーがないの無理だから。」

「でも、好きなの!」

 またもやため息をつかれ、麻嘉の手を自分の腕から放し、何も言わず"お疲れ様でした。"と帰っていった。

 その後ろ姿を、麻嘉は悲しい気持ちで見送ったのだ。
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