100回の好きの行方
ー完璧メイクとドレスアップーの行方
麻嘉は明らかに落ち込ん、オフィスでため息ばかりをついていた。
「ちょっと、麻嘉ちゃん、デザイン煮詰まってんの?」
横でこんなにため息ばかりをつかれ、さすがに気にするあかねに対して、麻嘉は首を横に振り、また、ため息をつく。
「違うんです…デザインは完璧に6パターン出来たんです。」
「なら、その長くて、私も不幸になりそうなため息は何?」
よくぞ聞いてくれましたとばかりに、隣の席のあかねにすがるように質問する。
「どうしたら篤斗に気持ちが伝わるんでしょうか?」
「はぁ!?」
「お弁当もめちゃくちゃ美味しいって言ってくれたんです!でも、何度好きって言っても全く伝わらなくて…。」
あかねぬ回答を求めてくる瞳は、チワワのように、うる
うるしている。
あの日、"美味しかった"とお弁当を誉めてくれたが、全くなんの進展もなく、あのあとの、"大好き!"なんて、軽くかわされてしまった。
まるで、"あめとムチ"だと、麻嘉は思う。
麻嘉をドキッさせたり、嬉しい言葉を言ってくれるが、本当に欲しい言葉は絶対言ってくれないし、軽く流される。
「嵜村くんって、何て言うか悪気はないけど女心がわからないことあるもんね…。まっ、頑張りなさいよ。」
あかねから言われたのは、労いの言葉だけだった。