100回の好きの行方

 そう言ってにこやかに笑う社長は、デザインを手に取り、"どれも素敵だ。"と1枚1枚にコメントをするため、麻嘉のデザインが好きなのがすごく伝わってくる。

 しかし、興味があると直球で言われ、篤斗は、何だか胸がモヤモヤしてしまうのに気が付いた。

 話はその後も続き、デザイン候補を何点かに絞り混み社員と話し合うことになり、帰ろうとすると、社長からカードを渡される。

「今週末に、会社の創立記念で、ちょっとしたパーティをするんです。ぜひ、参加して下さい。朝霧さんにも声をかけてくれると嬉しいです。」

 カードを渡され、営業スマイルを浮かべながら、二人はこの会社を後にした。

*******

「あの社長、浮いた話1つないって有名なのに、麻嘉が好きなのか。」

「興味があるだけだろ?」

 尚志の呟きに明らかに、イライラした口調で話す篤斗は無意識に眼鏡に触れる。

「何、イライラしてんの?」

 聞こえない振りをして、歩くスピードを早める。

 尚志が言った通りあの社長の言葉が妙に引っ掛かり、胸がモヤモヤ、なぜかイライラしているのは、認めたくないが事実だ。
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