１００回の好きの行方
　オフィスでは、麻嘉が営業先からの帰りを、今か今かと待っていたため、二人が帰って来るとすぐに話かけた。

「デザイン、どうだった！？」

　ワクワクしながら聞いてくる麻嘉に対し、"ああ。"とぶっきらぼうにしか言わない篤斗を覗き込む。

「何、機嫌わるいの？」

「……なんで、俺が機嫌悪いんだよ？」

　眼鏡の奥の瞳が、怒ったように見えるが全く覚えのない麻嘉は少し困惑してしまう。"やっぱり、機嫌悪いじゃん…。"と呟くと、課長に営業報告を行っていた尚志と課長から二人は呼ばれた。

「はい、何でしょうか。」

　さっさと課長の席に向かう篤斗の後ろを、麻嘉は黙ってついていく。

「嵜村、真中、朝霧、俺で今週末これに参加な！」

　一人理解してない麻嘉は、そのカードを受け取り驚いた。

「創立記念パーティ！？」

「あぁ、朝霧もぜひにってことだったからさ。」

　佐伯に言われ、何で私がと思ったが美味しいビュッフェで有名なホテルで開催されるため、ラッキーとも思ってしまう。

　だが、ふとあることを思い出したのだ。有名なこのホテルにはドレスコードがあったことを。

「子ども見てもらえたら、私も行くのになぁ～！」

　横からひょっこり顔を出すあかねに、麻嘉は精一杯SOSを出した。

　あかねは、麻嘉がこうゆうパーティに参加するときは、スーツで出席しているのも知ってるし、ドレスを好んで着ないことも知っている。

　そのため、力強く見てくるあかねの瞳は、"任せておいて！"と言っているように見えた。
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