100回の好きの行方
「すみません、お待たせしました!」

 ようやく到着した麻嘉を見た、男性陣の口が空いたまま、びっくりした視線を向けられた。

「ビビった!」

 始めに口をあけた尚志は、そう言いながら全身を見る。

「バッチリフルメイク!いつもこんななら色気ないとか言えないよな?嵜村?」

 佐伯が篤斗にふる。

「色気って言うか……普通に綺麗に見える。」

 その篤斗の言葉に、麻嘉は真っ赤になりながら、"してもらって良かった~。"と心の中で思いながら、先頭を歩き出した篤斗を追いかけた。

 その様子に顔を見合わせながら、クスクス笑いながら佐伯と尚志は着いていくのだった。

*******

 会場の前まで着て、麻嘉は足がすくんだ。

 タクシーからホテルを遠く眺めている時は、有名ホテルに行ける喜びの方が、勝っていたのだ、ホテルに徐々に近づき、会場の前まで来るとそのキラキラした世界に、たじろいだ。

 それはみんなも同じようで、呆然としているのが分かる。

 会場に来るまでは自分の格好は、やりすぎなのではないのか、浮いているのではないかと思っていたが、このぐらいの格好が丁度いいことがわかった。

 受付で上着を預かりますと言われ、躊躇しながらもスプリングコートを脱いだ麻嘉に、3人はメイクを見たときより驚いているのが伝わってくる。
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