１００回の好きの行方
　今日は、昔でいう"花の金曜日"。

　就業時間が過ぎたが、まだ人は仕事している。

　そんな中での公開告白が広まるのはあっという間で、噂を聞き付けた同期が麻嘉を掴まえ、ネオン輝く夜の町へと連れていく。

「麻嘉、あんた嵜村のこと好きだったの？私、知らなかったわ。」

「てか、オフィスで聞いた俺の驚き、お前には分からんだろ？」

　目の前にいる同期二人は好き勝手話、飲み食べをしている。

　女の方は、会社の受け付けをしている、伊藤千華。

　メイクばっちりで、ボブヘアーもしっかりウェーブがかかり真っ赤なルージュもしっくりくる、名前通り華やかな出で立ちである。

　男の方は、篤斗と同じ営業をしている、真中尚志。

　うっすらと茶色いの短髪に、口元にほくろがある、爽やかなイメージで、篤斗と人気を二分にしている。口が上手く、フットワークも女性に対しても軽い男。

　二人とも、入社５年の麻嘉と篤斗と同期である。

　四人が勤めるのは、何店も店舗を構える大手雑貨店の、本社に勤めている。

　麻嘉は、その中でも数少ないデザイナーで、自社ブランドの和小物のデザインからジュエリーのデザイン等、幅広く担当している。

　篤斗と尚志は、和小物やアクセサリーの営業をしているおり、千華は本社に配属されたことで、四人は同期の中でも接点が多いのだ。
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