100回の好きの行方
 ふと、唇が離れた。

 先程言われた言葉がショックで涙目になっていたはずなのに、そんな涙も引っ込んでしまう。

 びっくりした顔の麻嘉と、何を考えているか分からない篤斗の視線が交わる。

「さすが、これくらいのキスじゃ全然落ちない。」

「……えっ!?」

 そう呟いたのも束の間。

 両手を押さえていた篤斗の片手が麻嘉の頭に回り、もう片方の手が、腰に回りグッと引き寄せられた。

 一瞬だった。

「んっ!……んっ……はぁ……っ!!」

 今のキスは比べ物にならないくらい激しいキスをされ、クラっと目眩がした。

 離れようて身をよじると、頭と腰にある手に力を入れられ逃してはくれない。

 麻嘉は付き合ったことはないため、キスも初めてだった。

 そのため、どうすればいいのか分からず、とにかく、酸素が欲しくて、息継ぎをしようと口を少しあけた。

 それが間違いだったのだ。

 口を少し開いたことで、そのすき間からあろうことか篤斗の舌が入ってきた。

「んっ!!……っはぁ…。んっーんっ!!」

 声にならない恥ずかしい声が出て、一生懸命離れようとする麻嘉に、腰にある手を背中まであげ、がっちりと逃げないようにした。



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