１００回の好きの行方
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　あの時のキスに理由が気になる麻嘉は、週明けその理由を聞くつもりでいた。

　しかし、週明けから数日、出張になっていたため、その理由は聞けずにいる。

　その出張で、篤斗が運命の出会いをするとは思わなかった。

　篤斗が出張の最後に、本社近くの支店に向かい売り上げの確認をしていると、店の制服を来た、女性に話しかけられた。

「嵜村くん？」

「えっ？」

　この支店は、和物を扱うため、制服は着物をだった。しかし、その着物の女性に見覚えがないため、着物たから分からないのかと、まじまじと篤斗は見てしまった。

「一応同期なんだけど…。」

「あっごめん。」

　本社にいる麻嘉たち同期の他にも、何十人も同期がいるため、さすがに本社以外の同期は分からなかった。

「仕方ないよ。……入社したての頃、会社のロビーで話しただけだもん。」

「えっ？」

　篤斗の目の色が変わった。

　"入社したての頃"　"会社のロビー"その単語を聞いて、ｰあの時の女性は彼女だｰと、篤斗は勝手に勘違いしてしまったのだ。

　なんの確証もないのに。

「君は…いなり寿司作れる？」

　気がついたら、彼女の手を掴み、そう聞いていた。
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