100回の好きの行方
「あれ?待ち合わせは公園じゃなかった。」

 そんな中、出張明けの篤斗がのんきに出勤してくる。

「待ちきれずに来ちゃった。」

「すぐ、降りてくるからロビーで待ってて。」

 篤斗が菜月を促す。それを近くで聞いていた尚志は、あっけにとらえ、菜月がロビーに向かうのを眺めていた。

 普通に自分の席に向かおうとする篤斗を、尚志がいく道を塞ぐ。

「どうゆうこと?」

「何、道塞いでんだよ?デスクにかばん置けないじゃん?」

「今の女、誰?彼女なんていつからいたの?俺知らないけど。」

 お茶を買いに行っていたあかねや、会議帰りの佐伯が入り口で言い合いしてる二人を見ながら、麻嘉の方に近づいてくる。

 麻嘉には、二人が何か聞きたそうにしている雰囲気が伝わってきたが、わざと視線をそらした。

「……昨日から、付き合ってるんだよ。支店の同期で、6月からデザイン室に配属らしいから、まぁ仲良くしてやってよ。」

 淡々と説明する篤斗を見た尚志は、入り口のデスクを叩いた。

「ふざけんなよ!」

 あまりにも大きな音と声だったため、注目していない人達の注目も集めてしまった。

「なぁ、麻嘉はどうするんだよ。」

 不意に名前を呼ばれた麻嘉は、ドキッとした。
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