100回の好きの行方
「だって、今日、言おうって思ってて、タイミングがあの時だったんだもん!!」

 二人の顔を見ながら、真剣に話す麻嘉に、二人は呆れ顔をしている。

「いやいや、だからって…。俺、パソコンのenterキー、ずっと押してたもん。まじ、びびった!あっ俺、砂肝。」

「しかも、Eカップって叫んだんでしょ?何、暴露してんのよ?私、アボガド。」

「だって、裸見たことないのに色気ないとか、ひどくない?あっ私、ホッケ。」

 3人は話ながらタッチパネルを操作し、各々に食べ物を注文し、先に来ていたビールで喉を潤した。

「Eカップってマジなわけ?」

「「……食い付くとこそこなわけ?」」

 尚志の言葉に、怪訝な瞳でみる二人に、悪びる様子もなく"男だし"と、さも、当然な口調で言ってくる。

 咄嗟に胸を隠す麻嘉に、呆れた様子の千華が、話をふる。

「麻嘉、あんた嫌な思いしたから隠してたんでしょ?昔みたいなことあったらどうすんのよ?それトラウマで、今だ乙女のくせに?」

「えっまじで!?付き合うやつめっちゃラッキーだし。」

「千華~!!そんなこと、ばらさないでよ!」

 3人の飲み会は、麻嘉の話で、盛り上がり、二時間ほどでお店を後にした。

 会計後、尚志は、誰からか連絡が来たようで、そそくさとまだ明るいネオン街に走っていった。
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