１００回の好きの行方
ｰ恋は一喜一憂ｰの行方
　６月になり、新しいメンバーが増えた。

　アクセサリー・小物営業に新人男性の真壁享(２２歳)。

　アクセサリー・小物デザインに新人男性の麻生宗治(２２歳)と、麻嘉たちの同期で、篤斗の彼女の菜月だ。

　話を聞いたときは、メンバー全員が篤斗に冷ややかな視線を向けた。あれから、表面上での付き合いしか出来ていない篤斗は、みんなが何を言いたいのか分かり、気まずそうにしていた。

　あれ以来、尚志と麻嘉とは必要以上に話事はなく、千華には烈火のごとく怒られ、麻嘉の公開告白を知る本社の人間からは陰口を叩かれることになった。

　そんなことは、別にどうでも良かったが、一番悩ませたのは、本当の彼女じゃない菜月の振舞いだった。

　毎日のようにお弁当を持ってきて、わざとみんなのいる前で見せつけるように食べたり、夜、わざとホテル街をとおり気分の悪いふりをしてホテルに入ろうとしたり、家に押し掛けてきたり、自分の予想の斜め上を行くため、対応に困り果てていた。

「あの、朝霧さん。」

「なに！？」

　菜月とは、極力はなしをしないようにしている麻嘉は急に話しかけられ、少し驚いた。まだ休憩時間にならないのに、何だろうかと尚志も驚いたように菜月に視線を向けた。

「人の彼氏の事、名前で呼ぶのやめてくれませんか？それと、同期の旅行もやめて下さいよ。行くなら私も行きますから。」

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