100回の好きの行方
「あんな怒った嵜村、初めて見たわ。」

「彼女だから、怒れるんじゃねーの?」

「まぁ、他人より近い他人だしな。恋人なら、ベットの上でフォローすればいいんだし。」

「あいつ、女っけなかった割には付き合って次の日には、ホテルで目撃されてたし、そこら辺のフォローはバッチリなんじゃない?」

 そんな風な下品なが聞こえてくる。それを横目で見ながら戻ると、皆は、それぞれに仕事をしていた。

「朝霧、悪いが麻生をフォローする形でこの案件、お願いしていいか?」

 先程、菜月がいやがった案件を差し出され、ざっと確認し、頷いた。

「麻生くんに、デザイン画を何点か出して貰ってから、指導しますね。」

 佐伯は頷くが、宗治は自信がないのか"えっ?"と言いながら、麻嘉の方を見た。

「そんな心配しなくても大丈夫よ。色々な視点から何枚かデザイン画を描いてみて?私も相談にのるからさ。とりあえず麻生くんが思うのを、お願いね。」

 麻嘉がニコッと笑うと、顔を真っ赤にし宗治はそれの資料を受け取った。

 そうなやり取りをみながらも尚志が考えていたのは、先程の篤斗のあの怒りようだ。

 インテリア部門の人が言うように、恋人だからあんなに怒ったのか。でも、果たしてそうなのか。

 気になった尚志は、久しぶりに篤斗にメールした。

ー今日、お前んちで飲まないか?ー

 そのメールにすぐにOKの返事が返ってきた。
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