100回の好きの行方
「俺、そんなに節操なしじゃないから。」

「でも、ホテル行ったんだろ?深山が自慢気に麻嘉に話してたぞ。最初は優しくしてくれるんですけど、案外肉食みたいで朝までベットの中から出してくれないんですって!」

 篤斗はげんなりして尚志を見た。

「えっ!?あれって嘘なわけ?」

「当たり前だろ。てか、普通そんなプライベート人に話す女がいるのかよ?」

 菜月は篤斗がいないときを見計らっては、麻嘉に対して自慢気に話す姿を度々目撃していたため、尚志も驚いた表情をし、二人で顔を見合わせた。

「本当に、お前の探してた女なわけ?和服美人で、いなり寿司が作れる料理店上手で。深山が女子力高いのは分かるけど、どうやって確かめるわけ?」

 尚志に言われた篤斗は、引き出しから、例のものを取り出した。

「その人の忘れ物なんだよ、これ。これを返したくてさ。……まだ、菜月には話してない。菜月なのか確かめたくてさ。」

 篤斗の手には、薄紅色の家紋のようなものが入った生け花で使うハサミであった。

「生け花?……それが深山のか分からないけど、深山っぽいのか?」

 篤斗は首をふった。

 初めは、控えめで料理が上手で、確かに女子力が高いと期待してしまったが、知れば知るほど違和感を抱いてしまう。

 彼女アピールをあからさまにしたり、仕事に対しての姿勢や周りの皆への態度が悪かったりと、目に余る行動が多すぎる。
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